家づくりの現実

「15年くらい前は2000万円〜2500万円ぐらいが
住宅ローン申し込みの相場だったけど、この頃は、
亀岡市だと4000万円ぐらいの申し込みが当たり前になってますね。
年収の5倍ぐらいと言われていた融資の限度額も
下手をすれば8倍ぐらいまで貸すこともあります。」

先日、とある金融機関の方から
このようなお話をお聞きしたのですが、
確かに原材料費高騰の影響もあって
どんどん値上がりする家の価格を考えると、
土地から買って家を建てる方は、
自己資金がなければ
それぐらいの借り入れになってしまうのかもしれません。

しかし個人的には、
たとえ共働き世帯だったとしても、
会社勤めである方たちには
この予算設定はオススメ出来ません。
返済していくだけで精一杯の状態になる可能性が
かなり高いからです。

おはようございます。
OHANA HOUSE Inc. 神田です。

例えば、
4000万円のうち3000万円をベタ払いで、
1000万円を年2回のボーナス払いにし、
35年返済で1.4%の固定金利で
金融機関から借り入れしたとしましょう。

この場合、毎月の返済は90,392円となり、
年2回のボーナス返済は181,193円となるのですが、
仮に現在の家賃が70,000円だとしたら、
出費が今よりも20,000円も上がってしまうことになります。

また、賃貸では火災保険を
自分の家財にのみに掛けておけば良かったのですが、
家を持つと建物本体にも火災保険を掛けることになるし、
それにプラスして賃貸の時は必要なかった
固定資産税を毎年払わなければいけません。
(亀岡市はこれに上乗せして都市計画税も)

さらに、家をいい状態で維持していくためには、
定期的に家のメンテナンスをしないといけないのですが、
そのための費用も今のうちから
コツコツと積み立てていかないといけないし、
同時に、やがて老朽化し入れ替えが必要となる
水回りの工事費用も積み立てていっておくべきです。

そしてこれらを合計すると、
毎月約20,000円〜25,000円ぐらいは
必要となってくるわけですが、
さて、現在の暮らしよりも一気に
40,000円〜45,000円も負担が上がるとしたらいかがですか?

✔️ ボーナスはずっとあるのか?

そして私が一番懸念するのは、
「ボーナスがずっとあるのか」というところです。
ボーナスというのは給料と違い
企業の業績に応じて支払われるものであるため、
今後35年間良い業績がずっと続くかどうかなんて
現時点では誰にも分かりません。

そして、仮にボーナスがなくなる
という事態が起こってしまった時は、
(業績悪化や転職といった要因によって)
年2回分のボーナス上積み分を
毎月除けていかないといけなくなります。

となると、さらに毎月の負担が高くなり、
とてもではないけれど家族で旅行に行く余裕なんて
全くなくなってしまうのではないでしょうか。

✔️ 贅沢な暮らしを諦める覚悟

これは金融機関の方が話していたことで私も同感なのですが、
家にこれだけのお金をかけるつもりなのであれば、
家以外のことを
「ずいぶんと我慢して暮らす覚悟」
が必要だと思います。
つまり、贅沢はしないということです。

例えば、外国車や高級車といった
いわゆるいい車は絶対に買わないとか、
基本的には外食には行かないとか、
旅行に行くのは年1回にして
その旅行も泊まりでは行かないとか、
あるいは行き先を飛行機に乗らなくて良い場所にするとか、
時計やバイクのほか、
お金がかかる趣味は全て諦める、といった感じです。

理由は、子供たちを育てていくためには
想像以上にお金がかかるから、
そして、今後は天引きが増えるため、
よほど給料が上がらない限りは
確実に手取り金額が減っていくから、
でも、そんな中でも老後に向けて
積立もしていかないといけないから、です。
(年金はなくならないにしても
支給が遅れたり減ることになるからです)

これから35年間、
つまり住宅ローンに縛られている間、
ずっとそれでも我慢出来ると断言出来るのであれば、
家に全身全霊を捧げてもいいと思います。

しかし、それはちょっと嫌だなーとお考えだとしたら、
家づくりの予算をもっと現実的に考えるべきだし、
もっと踏み込んで言うなら、
家づくりの予算を計画する前に
これから必要となるコストを知り、
その備えをしていくために
現在の状況を見直すべきだと思っています。

家にかける予算を失敗してしまうと、
間違いなく一生かかっても取り戻すことが出来ません。
それどころか不測の事態が起こった場合、
家を手放すことになるかもしれません。

なので「みんながそうしているから」という理由だけで、
同じような選択をするのは
絶対にやめていただければと思います。
家を建てることが目的ではなく、
家は家族が幸せになるための一つの手段であることを
決して忘れないでください。