統計で見る家づくりの実態

「フラット35」を提供する住宅金融支援機構の
投資家向けの資料から抽出したデータによると、
2000年度から2020年度のフラット35の利用者である
122万人を分析したところ、
1:借入年齢の上昇
2:借入額の増加
3:融資期間の長期化
この3つの要素が重なったことによって、
ローンを完済出来る年齢が大きく上昇しているとのことです。

つまり、以前に比べると、
老後に返済リスクを先送りする傾向がある
ということなのですが、
このデータの結論としては、
2020年にフラット35を利用した方が
ローンを完済する平均年齢は、
73歳だということです。

言い換えるならば、
どんな状況であろうと、
73歳まで働き続けることを前提として、
家づくりをしている方が、
数多くいるということです。

おはようございます。
OHANA HOUSE Inc. 神田です。

さて今回は、
日経新聞に出ていたこの記事について、
もう少し掘り下げてお伝えしていきたいと思います。

✔ 借入時の年齢の上昇

借入時の年齢は
2000年代前半の時点では
37〜38歳が平均だったようなのですが、
その後、結婚年齢の上昇などに伴って
家を取得する年齢が引き上げられたため、
2013年度以降は
40歳あたりをずっと推移しているとのことです。

ここに関しては、
別段、驚くこともない感じですね。
しかし、次の借入額に関しては、
この20年間でずいぶんと違ってきているようです。

✔ 借入額の激増

データによると、
総融資額を融資件数で割った平均融資額は、
この20年間で、
なんと1200万円も増えているとのことでした。
(2003年度→1900万円)
(2020年度→3100万円)

理由としては、
金利負担が驚異的に軽いため、
頭金の比率を減らし、
逆にローンを増やす傾向にあることと、
資材価格の高騰や増税などの影響によって
住宅価格が上昇を続けていること、
が挙げられるようですが、
今の住宅価格の動向を見る限りでは、
この借入額については、
今後ますます増えていきそうな気がします…

✔ 融資期間の長期化

そして、借り入れが増えれば当然、
返済期間も長くなるのですが、
データによると、
2000年度にローンを組んだ方と
2020年度にローンを組んだ方とでは、
完済時の年齢が
5歳も違ってきているとのことです。

(2000年度にローンを組んだ人の
完済時の平均年齢が68歳に対し、
2020年度にローンを組んだ人の
完済時の平均年齢は73歳らしいです)

✔ ︎60歳時点のローン残額

また、60歳時点のローンの残額も、
借入額同様に爆上げしています。
なんせ2003年度にローンを組んだ方の
平均残額700万円に対し、
2020年度にローンを組んだ方の
平均残額は1300万円と
2倍近い金額になっています。

まぁ今は人生100年時代と言われるぐらい
日本人の寿命はどんどん延びていっているので、
60歳以降も15年〜20年働くと考えれば、
問題ないといえば、そうかもしれません。

とはいえ、
ずっと健康で働くことが出来る保証はどこにもないので、
もしもの時には備えておかないといけません。
これからは、退職金だってあてにならないかもしれませんから。

✔ リタイア後の暮らしと家づくりのバランス

30代中盤までに家づくりをすれば、
最長の35年でローンを組んだとしても、
繰上げ返済をせずとも70歳までには完済出来るので、
借入額さえ間違えなければ大きな問題はないと思います。

しかし、その年齢を超えて家を建てるとなると、
かなり慎重に予算や返済期間を設定すべきです。

というのも、
フラット35を利用している
45〜50歳の9割が80歳近くまで返済することを前提として、
住宅ローンを借りているのですが、
これは住宅購入の選択肢は増えるものの、
かなり老後の返済リスクが高まってしまうからです。

若い時に貧乏になるのと、
歳をとってから貧乏になるのとでは、
状況が天と地ほど違いますから…

事実、現在でも
定年後もローン返済に追われていることを理由として、
パートやアルバイトを始めて
ギリギリでやりくりしている高齢者が
増加していると言われています。

なので、30代中盤を過ぎてから家を建てるなら、
老後の暮らしも並行して考えた上で、
予算設定を行っていただければと思います。
そして、その予算の範囲内で、
実現可能な家づくりをしていただければと思います。