接道ごとのメリットとデメリット その4

南側接道の土地は、
最も人気がある土地であり、
かつ最も資産価値が高い土地であると考えられています。

その理由は、
居住スペースに採光を確保しやすい、
間取りの自由度が高い、
道路から人目につきやすく防犯性が高い、
開放的な外観にしやすい、
このように考えられているからなのですが、
これらのメリットは、
南側接道の土地を購入した全ての方に、
確実にもたらされるものなのでしょうか?

おはようございます。
OHANA HOUSE Inc. 神田です。

例えば、南側接道の土地に建つ家の多くは、
その恩恵を享受するために、
基本的に南側に居室を配置し、
それぞれの部屋に大きな窓をつくっています。

しかし、これらは一見、
南からの採光を確保しているように思いますが、
その窓をカーテンで閉め切らざるを得ません。

外からの視線が気になるからです。

また、直射日光が入ってくる場所が増えれば、
家の中が暑くなりやすかったり、
テレビに光が反射して見にくくなってしまったり、
直射日光の中に含まれる紫外線で
床や家具が焼けやすくなってしまったりもします。

そして、こういった理由も合わさって、_
余計にカーテンを閉め切ったままにせざるを得なくなる、
というわけです。

こうなると、逆に家に中が薄暗くなってしまいます。

☑ 間取りの自由度は本当に高いのか?

南側接道の土地を買う最大の理由は、
居住スペースを南に確保しやすいから、です。

となると、南に居住スペースを配置することが、
南側接道の大前提となってしまいますし、
南に配置した部屋の南面には、
大きな窓を設置することを前提として、
間取りを決めていってしまいます。

つまり、南側接道の土地を買った時点で、
おのずと、ある程度間取りが決まってしまう
というわけですから、
そう考えると、間取りの自由度も
決して高いとは言えないと思いませんか?

わざわざ採光が確保しやすい南側接道の土地を買っても、
あえて南に居住スペースや窓をつくらない
という選択肢をとることが出来るならば話は別ですが…

☑ 防犯性は高くなるのか?

南側接道の土地は、
南側に居住スペースをつくり、
かつ南面に大きな窓をつくることが前提の家が建つことから、
ある意味、防犯性が高い家が出来上がります。

外から家の中が丸見えとなるオープンな家になるからです。

しかし、こういったお家は、
窓を見ただけで家の間取りが簡単に分かってしまいますし、
灯りをつけたままで寝るようにしないと、
夜にどの部屋を使っていて、
どの部屋を使っていないかが、
簡単に分かってしまいます。

また、プライバシーを確保するために、
目隠しや塀などを庭につくってしまうと、
せっかく丸見えになっていた庭を閉じてしまうことになり、
逆に防犯性が悪くなってしまいます。

それゆえに、防犯性の高さを維持するためには、
プライバシーを犠牲にし続ける覚悟が必要となるか、
あるいは常時カーテンが閉まったままの
薄暗い家に住み続ける覚悟が必要となります。
そして、どの部屋も
夜ずっと電気をつけたまま暮らすようにしなければいけない、
というわけです。

☑ 開放的な外観ってどういうこと?

空を眺めることが出来たり、
家の中から庭や緑を眺めることが出来たり、
天井が高かったりという風に、
視覚的に空間に広がりが感じられる
開放感たっぷりの室内をつくることが出来れば、
毎日をとっても心地よく豊かに過ごしていただけると思います。

しかし、この空間をつくることと、
外観が開放的であることは一切関係がありません。

外観を開放的につくるということは、
カーテンが必要となる窓をたくさんつくり、
さも明るい家かのように見せているだけ、
だからです。

空や外を見ることが出来るようにするためには、
そもそもカーテンが必要のない窓をつくらないといけません。

なぜなら、
カーテンが開放感を阻害する一番の原因だからです。

外観を開放的にするということは、
結果的に、室内を閉鎖的にしてしまう最大の原因となります。

それゆえに、室内を開放的にするためには、
逆説的に言えば、
外観を閉鎖的にすることが
最も合理的であるということになります。

いかがでしょうか?

一般的に南側接道のメリットであると考えられていることは、
設計次第で全てデメリットにもなりうる
と言っても過言ではありません。

そして、
そのメリットを享受するために行うことが、
南側接道が持つデメリットを
引き起こすといっても過言ではありません。

ですから、
こういった点も冷静に考えていただき、
土地選びを行うようにしていただければと思います。

決して南側接道が必ずしも一番いいわけでもなければ、
最も高い価格で購入したにもかかわらず、
最も住みにくい家をつくってしまうかもしれませんから…